更新日時:2024-12-03
川口農業ブランドものがたり年の瀬が近づくと、日が短くなり少し寂しく感じます。そんな時は、冬に最盛期を迎えるシクラメンの鮮やかさに元気をもらいませんか?
川口緑化センターからほど近い、𠮷沢園芸では毎年11月〜12月に、ビニールハウス一面のシクラメン畑を歩きながらお気に入りの一品を選ぶことができます。色や模様の異なる約50種類のシクラメンが並び、どの花も「私を見て」とばかりに咲き誇っています。
茎はぴしっと伸び、花びらは優雅に開き、素人目から見てもそんじょそこらのシクラメンとは一味違うことがわかります。どんな方が育てているのでしょうか?今回は、𠮷沢園芸・𠮷澤明弘さんに、シクラメンに込める想いをお聞きしました。
武者修行 in U.S.A.
Q:アメリカで研修されたと伺いましたが、なぜアメリカを選んだのですか?
「シクラメンだけではなく、もう少し広い視野で園芸全般について学びたい」とアメリカを選びました。園芸は、オランダやドイツでも学べたと思いますが、やはり世界の中心アメリカで得られるものは多いのではないかと。今思うとよく飛び込んだなぁと思いますね。
シアトルからほど近い、スノホミッシュというところで花の生産と仲卸をやっている会社で2年間研修を受けました。色々な人種の方が働いていたので、多様な価値観に触れながら、園芸の知識も勿論のこと、自身の視野が広がったことが1番の収穫でした。
アメリカから帰国して一年後、今度は日光へ学びに行きました。日光はシクラメンの生産が盛んな地域で、いわばシクラメンの聖地のようなところです。シクラメンの品評会で毎年金賞を取る、イッセイ花園さんで一年半学ばせてもらいました。師匠は優しい人で、聞いたことは全て丁寧に教えてくれる人でした。自分自身をスポンジにして、吸収できることは全部吸収しましたね。
そこでは全国から研修生を受け入れており、一緒に学ぶなかで彼らと仲良くなり、いまでも一年に一回は皆で集まっています。

心を鬼にして、精鋭部隊を育てる
Q:𠮷澤さんが考える「良いシクラメン」の条件は何ですか?
ズバリ、長持ちするシクラメンです。現在は、直売所とオンライン販売がメインなのでお客様の感想を直接聞くことができます。去年買って頂いた方から、「長く楽しめたよ〜」と聞くと嬉しくて嬉しくて、、、逆に「すぐ枯れちゃったよ…。」なんて言わせたくないので、見た目の美しさに加え、シクラメンを長く楽しんでもらえるよう、生命力にはこだわっています。

Q:なるほど…。肥料をたっぷりあげて育てるんですか?
いいえ、優しくしすぎず、ほどよくストレスを与えて育てるのがコツです。元々、涼しいところを好む花ですが、わざと夏の時期に暑さの中で鍛えます。そうすることで、お客様のところへ行ってからも元気な状態が長持ちする花になります。
常に快適な状態にしていると花は緊張感をなくし、だらしない見た目になってしまいます。 人間と一緒で、甘やかしすぎたらダメなんですね。
シクラメンはデリケートな植物で、「シクラメンを学べば他の植物にも応用が効く」と言われているほど実は育てるのが難しい植物です。葉っぱが育ってきたら、一つ一つ手作業で葉を開き、真ん中の部分に日光を当てます。そうすると眩しいからさらに新しい葉を出す。その作業を繰り返すことで、まるでミルフィーユのような美しく葉が並んだシクラメンになります。
日光の師匠には、シクラメン作りは「マラソンと一緒」と教わりました。自分のデータに基づいたペースで手入れすることが大切です。気温や、花の育ち具合など、肌感だけに頼らず過去の記録を元に、その時最善の手入れをします。

夫婦二人三脚で
𠮷沢園芸の一角に花屋を構えていて、2階のアトリエでは妻のシェリーが、ブリコラージュフラワーレッスンを開催しています。「根付き」の植物を使ったフラワーアレンジで、皆で楽しくワイワイやっています。
また、先代の私の父はこの道40年のベテランですが、私のやり方についてあれこれ言ってくることなく、そっと見守ってくれています。
花屋で花を買う事が特別なことではなく、これからも生活の中に自然に花が溶け込んでいるような、気軽に楽しんでもらえる提案をしていきたいです。

最後に
美しいけど、だけじゃない。美しさに加え、生命力をも仕込まれたシクラメン。 上手に手入れすると、翌年の5月頃まで楽しめるのだとか。来年はシクラメンと共に冬を越そうと心に決めました。ビニールハウスいっぱいに並んだシクラメンは圧巻です。ぜひ、近くに来られた際は足を伸ばしてみてください。
**𠮷沢園芸さん情報**
※この記事は令和6年に作成されました。
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取材・記事作成:自分史作成 まごの耳

